Wednesday, November 12, 2014

ティーンと共に歩く


11月のぽーと会は、お母さんたちの間でも話題にのぼることが多い、「思春期、ティーンとの接し方」がテーマでした。 

かねてより「是非このテーマで、ぽーと会セミナーを!」というリクエストの声が多く、このたび子育ての大先輩K先生にお越し頂いて実現しました。

先生が付けて下さった素敵なセミナータイトルは、「ティーンと共に歩く」。

 K先生は、ドイツ、アメリカ、日本という三つの国と文化にまたがって三人のお子さんを育てあげられました。(短期滞在のスウェーデンも入れると四カ国)

Part1では、そんなK先生が子育てで経験された様々な出来事、その時どきで感じたこと、お子さんに何を伝え、どう接してこられたかを聞かせて頂きました。

三人三様の個性豊かなお子さんたちは、それぞれにカルチャーショックやアイデンティティ・クライシスを経験されたそうです。 先生ご自身もまた、海外での子育てに戸惑うことがあったそうです。

そんな時、先生は常に「これは私が日本人だから思うことなのか、それとも人として思うことなのか」と自問自答されたそうです。

日本で生まれ育って日本の価値観を持っている親が、アメリカをはじめとした海外育ちの子供を育てる時、とかくそのことを忘れそうになる時があります。 そしてそのことが原因で、ティーンの子供との接し方がますます難しくなることすらあります。 K先生が自問自答されてきたというお話は、私たちが是非いつも心にしまっておきたいことだと思われました。

Part2は、「K先生に相談しよう!」というコーナーでした。 「思春期のことを相談できる会があったら良いな」と言ってくれたメンバーの言葉がきっかけとなり、このコーナーが実現しました。


先生の経験談や温かい空気に引き出されて、参加してくださった皆さん一人一人の口から、「今困っていること」や「子育ての現状」など様々な話が飛び出しました。 

そのそれぞれに対する先生のアドバイスやコメントを伺いながら、また学べることが沢山ありました。 他の参加者の話や悩みを聞いて「ハッとすることがありました」と言ってくださった方もいました。

ところで、K先生に教えて頂いてブームになった言葉がありました。  それは「ケチャップ効果」という言葉です。


ケチャップのボトルに中身が沢山入っていても、ある時までは空気しか出て来ない。 けれど一度ケチャップが出ると、ドバっと大量に出て来る...という意味が込められていて、子供の成長や、努力が実を結ぶ時の様子を表しているのだそうです。

子育てのある一時点で見えている子供の様子は、けしてそれが全てではない、長い目でケチャップ効果を信じて見守ろう!というメッセージでもあり、この言葉に大いに励まされたお母さんが多かったようです。

この日のK先生の経験談や相談コーナーでの答えから、「子供を愛情豊かに見守り、異文化の中で果敢にチャレンジしている思春期ティーンの気持ちに共感し、何があっても味方だよというメッセージを伝える」、そんなお母さん像が見えました。 その姿はまさに先生から頂いたセミナーのタイトル、「ティーンと共に歩く」そのものでした。


多忙なスケジュールの中を、素敵なセミナーの機会を下さったK先生に心から感謝しております。

そして参加してくださった皆さんも、色々な話をシェアして下さり、本当に有り難うございました。

参加を希望されていたのにご都合が合わずに欠席された皆さん、ぽーと会ではこれからも「思春期・ティーン」というテーマでセミナーを行っていきますので、楽しみにしていて下さい。


Written by Chako


Friday, October 24, 2014

リクルーターから学ぶバイリンガルの就職活動


先日のぽーと会では、人材紹介会社TS Consulting International Inc のリクルーター、井上愛美さんから日本語を学んできた学生の就職活動、キャリアパス、どのように自分の強みを売り込んでいくかを教えていただきました。

井上さんは、高校卒業まで補習校で学び、UCデイビス卒業後、就職され、日系の会社と日本に興味のある人材を繋ぐ仕事をしておられます。

今回教えて頂いた内容は、
* 大学に入るまでの準備
* 課外活動の重要性
* 専攻の選び方
現在ニーズの多いポジションで必要とされている専攻
* インターンシップ
* 大学在学中の過ごし方、大学でしかできないこと
* ネットワーキングの重要性
* アメリカ、日本、それぞれの就職活動のやりかた、時期
* 有効な自分の売り込み方
* キャリアフォーラムなどの活用法
* 日本の企業の新入社員研修制度
* リクルーターにコンタクトするメリット
* 日本語バイリンガルである以外にもウリを作る重要性
などです。

お話を伺って素晴らしいなあと思ったのは、井上さんの「仕事を通して世の中に貢献したい。」という熱い思いです。
大学在学中、あるいは卒業してからも「アメリカで働きたいけれど、どこに仕事があるかわからない。」「自分に合った分野がわからない。」といったエントリーレベルの仕事探しをしている人たちにもカウンセリングをしてくださるそうです。

井上さんからの最後のメッセージは「リクルーターは、色々な会社やポジションを知っているので、どのような仕事が向いているかアドバイスできると思います。たとえ、その時点で求人がなくても、色々な形でお手伝いができるので、気軽にご連絡ください。」でした。

子供たちにとっても、素晴らしいロールモデルとなっていただける、素晴らしい先輩のお話を伺うことができ、参加者一同感動した1日でした。

Written by Keiko

Friday, September 26, 2014

アスリートのアメリカ大学進学プロセス(NCAA Division III)

今年度(2014年~2015年 スクールイヤー)第一回目のぽーと会セミナーは、「アスリートの大学進学プロセス」がテーマでした。 

東部のリベラルアーツカレッジのDivision III息子さんが行かれたお母さんスピーカーを務めて下さいました  

今回カバーしていただいた内容は以下の通りです。 
  • NCAA Division I, II, III およびNAIA特徴、違い 
  • アスリートとして大学に入学するためのリサーチ方法 
  • アスリート受験のタイムライン (いつ、何をするべきか?) 
  • コーチに発掘してもらう様々なアプローチ方法 -「こんな子、おりまっせ!」と売り込む方法 ー
キャンプ 
ネットワークの広げ方 
E-mail(作成したビデオ添付)の送付 
参考になるサイト 
書籍 
コーチ(High School, Club Team, Private)の助けを借り る方法 
カレッジ訪問 
  
  • アプリケーションの出し方、タイミング 
  • 合格通知が出た大学への訪問、コーチとのやりとり、大学のチーム選手とのプレイ、入寮体験、実際に訪問してみた手ごたえ 
  • 行き先決定までのプロセス 
  • ファイナンシャルエイド、スカラシップ 
  • 長いプロセスを乗り越える力を与えてくれた先輩ママたちの力強いアドバイスの数々 
  • 大学進学をサポートする中で思春期アスリートの子供から学んだこと、深い感謝の思い 
  • 後輩ママたちへ伝えたいこと 



アメリカの私学を受験することは、リサーチ、受験のプロセス全てが複雑ですが、それに加えアスリートで入学しようすれば膨大な準備、時間、手間がかかります。 

今回のスピーカーのTさんはご家族が一丸となってサポートされてきました。決して親が前面に出ることなく、お子さんの自主性を何よりも尊重し、高校のコーチ、プライベートコーチ、先輩たちのアドバイスを基に、ご本人が一番納得できる形での進学を支えてこられたご両親の姿勢は私たち親がいつも心がけなければいけないことです。 

アスリートの中でも一握りのスター選手は、大学の方から積極的にコンタクトしてくれますが、それ以外の選手は、あらゆる手段を使って自らをアピールしていくことになります。Tさんの息子さんは「出来るだけ沢山の学校にアプローチすること」を色々な方からアドバイスされたそうです。残念なことに、こちらからいくら働きかけ、何度もフォローアップしても全く反応を示さない大学もあり、徒労感を覚える時もあったそうです。しかし、種を撒いておけば、忘れた頃に突然大学側からお誘いの連絡を受けることもあり、最後までドラマは続きました 

最後の反抗期の時期に忙しいアメリカの高校生活、課外活動、ボランティアとストレスレベルの高い子供と更年期の親が大学受験に向けて共同プロジェクトチームを組むというのは、難しい組み合わせになりかねません。今回のセミナーを通して、親の立ち位置を教えていただきました。 

スピーチの締めくくりとして、大変なプロセスを終え、息子さんを大学に送って振り返ると、「今は感謝の思いしかない。」というお母様の言葉に一同じんときてしまいました。 

膨大な資料を丹念にまとめ、わかりやすいスライドを作り、初心者の方にも受験真っ只中の方にも役立つ内容に仕上げてくださったTさん、本当にありがとうございました。 

そして、忙しいスケジュールの中、参加してくださった皆さん本当にありがとうございました。「これからカレッジ訪問に行くので役立ちました。」とコメントしてくれたジュニアのアスリートの学生さん、自分にピッタリ合う大学が見つかるといいですね。応援してます! 

追記:スピーカーのお母さんからのメッセージです。
「アスリートの進学プロセスは、このやり方が全てではありませんので、あくまで一例として参考にして頂ければ幸いです」とのことです。

Written by Keiko


Wednesday, July 2, 2014

東部の私立総合大学に通うお姉さんのお話を伺う会

ぽーと会では、これまで何度かアートに興味を持つお子さん達に出会ってきました。「アートをメジャーにしたいけれど、どう進めたらよいのか分からない」「どなたかアートに進まれた先輩のお話が聞きたい」という声を何度か耳にました。 また、過去にも2度ほどアートに関する内容でセミナーを行ったことがありました。

そしてこの度、ロードアイランド州のブラウン大学に通う素敵な現役大学生のお姉さん・Eさんに、ぽーと会でお話をして頂く機会を得ました。 アートを志す高校生の為、Eさんの経験やアプリケーションに関するアドバイスなど、色々な話を伺いました。

Eさんは、アートとサイエンスを組み合わせて、Self-Design Major(あるいはIndividual Major)と呼ばれる自分独自の専攻を作るべく、アドバイザーや教授達に相談・ディスカッションを繰り返しながら授業を取り進めているそうです。 この”Self-Design Major”という言葉は、アメリカではよく耳にする言葉ではありますが、実際にEさんのお話を伺ってみて、「バラエティに富んだ既成の専攻が存在するだけでなく、生徒の興味や情熱に応えて独自の専攻を作り出せるとは、なんと素晴らしい環境だろう」と思いました。

また、アートを志す現役高校生にとって大切な「夏休みの過ごし方」「必ず足を運びたいポートフォリオ・デー」についてや、ブラウン大学と提携しているRhode Island School of Design (RISD)のことなどもシェアして下さいました。

他には、Eさんが去年一年間に取ったユニークなクラスの話、楽しい課外活動の話、ドームでの様子や、はたまた「大学のご飯は?」「ホームシックは大丈夫?」「寒い冬は平気?」などの話も聞かせて頂きました。

この日の高校生たちと、大学一年目を終えたばかりのEさんとは歳も近く、質問も沢山飛び出していました。「来て良かった」「”ため”になった」という声がEさんにも直接伝えられていましたが、後日、参加したお母さんの一人から、「娘がInspireされて、毎日アートの話に花が咲いているんです」という嬉しい報告も頂きました。

・・・・・夏休みも多忙なスケジュールで飛び廻っていらっしゃるEさん、ぽーと会の為に貴重な時間を割いて下さり、本当にありがとうございました!

Written by Chako





Sunday, June 8, 2014

藤井希依さん セミナー「前を向いて歩こう」


大学の3年目を終えたばかりの希依さんが、今年もまた、  ぽーと会に帰って来てくれました! 

第1回 希依さんセミナー
第2回 希依さんセミナー

ぽーと会でのセミナーは今回が3度目となる希依さんから、中学生・高校生を対象に、さまざまな話をして頂きました。

「メディカルスクールを目指す日々の様子」では、今期取ったクラスのこと、特にメディカル関連のAnatomy, Human Reproduction, Public Healthで希依さんが学んだこと、強く感じたことをシェアしてくれました。 希依さんが尊敬するUC Berkeleyの解剖学の名物教授による授業風景はビデオで見せて下さり、実際に学生さん達が授業を受けている姿を垣間見ることが出来ました。

希依さんが一人で車椅子に乗ってバスを乗り継ぎ、HospitalClinicの2箇所で続けているボランティアワークでは、心を込めて患者さんの問診に取り組んでいらっしゃるそうです。 「患者さんと触れ合うことが私の喜びです」という希依さんの言葉が心に残りました。 


ほかにもMCATの概略、準備方法など、具体的な話をしてくださいました。 会場にはScienceの大好きな学生さんが多かったので、とても興味深そうに聞いていました。

忙しい中・高校生が、限られた時間で成果を出すためのTime ManagementMulti Tasksの秘訣」では、希依さんが長年工夫しながら見つけた勉強法や、便利なサイトをツールとして使ったやり方も、伝授してくれました。


希依さんが初めてぽーと会でセミナーをしてくださった時の報告にもあるように、希依さんはこれまで沢山の「不可能」を「可能」に変えてきました。そんな希依さんが行き詰った時、「ハッピーさを取り戻して前を向いて歩いていく方法」として教えてくれたアイデアは・・・ 

★ Do Something Makes You Happy
★ ネガティブなことを1つ考えたら、ポジティブなことを10考える 

そして希依さんにとってのSomething Makes You Happyとは何かと問われると、「既にドクターとして働いている姿を思い描くこと」と答えてくれました。

また「お母さんが一番のメンターです」とも語ってくれた希依さん。日々挑戦を続ける希依さんにとって、お母様は心の太陽なんだ・・・ということが、同じ母親として、とても胸に沁みました。

希依さんの話に熱心に耳を傾けていた高校生の皆さんから、アドバイスを求める色々な質問の手も挙がりました。 そして会の後、希依さんの所へ行き、「お話を聞けて本当に嬉しいです。励みになります。」と言ったのだそうです。それを聞いた希依さんにとっても又、大きな励みになったと、お母様が教えて下さいました。

また来年、更なる前進を続けている希依さんを迎えて「前を向いて歩こう」の続編を行うことを、今から楽しみにしています。希依さん、本当にありがとうございました!

なお本日の収益は、希依さんのリハビリ代として寄付させていただきました。ご協力くださった皆さま、心から感謝申し上げます。

Written by Chako

Sunday, May 25, 2014

全盲のヨットマン岩本光弘さんのお話を伺う会

524日(土)、くじら学園とぽーと会の共催で、岩本光弘さんの講演会を行いました。
 
岩本さん(通称ヒロさん)は、13歳から16歳という多感な時期に視力を徐々に失い、16歳のときに完全に見えなくなりました。

立ち直ろうにも立ち直れない絶望の淵で、天からとも自分の内側からともいえる啓示を受取り、「目が見えていても生きる目的が分からない人は沢山いる。目の見えない自分が挑戦して成し遂げていくことで、目の見える人たちにも“やれば出来るんだ”という応援のメッセージを送っていく」という使命に目覚めます。 最初は、「振り絞って」「踏ん張って」「頑張って」立ち上がったという16歳のヒロ少年。

その後のヒロさんの人生はまさに挑戦の連続です。
筑波大学に進学し鍼灸師の資格を取得、臨床をし、教鞭も取る傍ら、大学院に進学。
単身サンフランシスコ留学。日本に戻られてからは奥さんと知り合い、初めてのヨットに挑戦、操縦免許も取得します。ご家族で渡米後は、赤ちゃんの世話もし、指針術の開業をされ、今ではサンディエゴの日系コミュニティーで活躍される毎日です。

そして昨年の6月にはヨットでの太平洋横断に挑戦。残念ながらクジラとの衝突により遭難しましたが、多くの方々の助けのお陰で無事に生還されました。

ヨット以外にもハーフマラソン、そして近い将来はトライアスロンのデビューに向けて訓練を続けておられます。

・・・・そんなヒロさんの講演会に参加してくれた子供たち、大人の方たちが声を揃えて仰ったのは「ヒロさんの明るさ」です。どんな話をする時もユーモアたっぷり、ジョークを交えながらのお話に、会場はグイグイと引き込まれ何度も笑いに包まれました。参加者の中には、「だけど、その明るさの裏にヒロさんの本当の強さを垣間見た気がした」と仰った方もいらっしゃいました。

また、親という立場でお話を伺ってみると、ヒロさんのご両親の姿勢に胸が震えずには居られませんでした。目が見えなくなってからも特別扱いをせずに、他の子供たち・兄弟たちと同じように遊んだり魚釣りに行くことも許してくれていたとのこと。薪割りや大掃除はヒロさんを甘やかすことなく、わざと仕事を与えられていたとのこと。また、弟妹たちには絶えず「お兄ちゃんは凄いんだ」と言い続けて、ヒロさんをリスペクトする環境を作っていらっしゃったそうです。
きっと色々な思いがご両親の胸に交差していたことでしょうけれど、それでも、ヒロさんの可能性をどこまでも信じて背中を押したご両親の存在が、ヒロさんの現在の明るさや挑戦を支えていたのだということを知りました。

この日、私たちはヒロさんから沢山の力強いメッセージを頂きました。「人間は可能性に満ちている」「人生の中で自分に起こることは全て意味がある」「大変なことに遭っても、感謝して前向きにとらえると人生は好転していく」「夢は大きく根は深く(あいだみつお)」

参加した子供たちにとって、今日・明日の励みになっただけでなく、いつか困難なことにぶつかった時にも、後から後からヒロさんのお話を思い出して勇気を振り絞る糧になることと思います。

ヒロさん、本当にありがとうございました。
これからもヒロさんのご活躍を心からお祈りしています!


なお今回の収益は、岩本さんの活動を支える団体See What I Sea Project (www.seewhatisea.com)に寄付させていただきました。皆様、本当にありがとうございました。



Written by Chako