2月のぽーと会は、Japanese Family Support Center (JFSC)さんとの共催で平和セミナーを開催しました。スピーカーは、San Diego-WISH代表で『8時15分−ヒロシマで生きぬいて許す心』の著者でもあり、臨床心理ドクターでもある美甘章子先生でした。
「平和、愛、赦し」をキーワードに、原爆を生き抜いた父・進示さんの体験や日常の身近な例を交えながら、「グローバル社会、次世代の平和のために」「真の意味で赦すということ」「起きた出来事をOpportunityとして捉えて前向きな未来を創る」「価値観が違う人との対話や共存を通して、自分の周りから平和な社会を築く」ためにどのようにすればよいかを学びました。
進示さんは、至近距離で被爆し、重い火傷や原爆症で苦しみながらも生き抜き、戦後、家族を築き、社会人として成功され、コミュニティーのみなさんに尽くされ、90歳近い今も現役として活躍されています。
美甘先生が執筆されたRising from the Ashes(英語版)、「8時15分 ヒロシマで生きぬいて許す心」(日本語版)では、進示さんの生き様、言葉の数々がまとめられています。
美甘先生の著書、進示さんの生き方、考え方は、BBCのラジオ放送やウェブで大きく取り上げられ、欧米でも大きな反響を呼んでいます。昨年11月、英国のThe World Peace and Prosperity Foundation(世界の平和と繁栄を促進する財団)からAwards for Exceptional Service for Peace and Prosperity, Nationally and Internationally(2014年度世界平和と繁栄のための国内外の類稀な貢献に対する賞) を受賞されました。
今後、他の言語でも出版できるように依頼が次々に舞い込んでいるそうです。ハリウッドでの映画化も決定したそうです。
講演の中で美甘先生は、進示さんからのメッセージの数々を私たちに届けてくださいました。
● 恨みつらみに重点を置き、未来でなくて過去にしがみつくことのないように。
● 何かをなくしたときは、何かを得るときだ。
● 原爆を落としたのはアメリカだが、アメリカ人を憎むのは間違っている。悪いのは戦争だ。
● 物事の全体像を把握することが大切だ。
● 異なる背景や信条の人たちがお互いに理解と協力ができるように人の助けになりなさい。
● 二度と核戦争が起こらないで済むように、次世代の子供たちが二度と自分のような苦しみを味わわないように、社会と世界平和のために貢献しなさい。
● 人間は一見ネガティブな経験に対しても、「共感」と「赦す心」で対処するという選択肢がある。
美甘先生の願いは、この「赦す心」と「共感」を私たち全てが人生の中で応用することで、世界が平和になることだそうです。
参加者の中には、これからの世界を担う子供たちもいました。この子供たちが、平和のために自分で何ができるか、考え、実践してくれることを願っています。
これから、成長していく中で、辛いこと、苦しいこと、無念なことに直面することでしょう。でも、進示さんのどんな辛くとも生き抜いてきた姿を思い出して、希望を持って、いつも前に向かって歩んで欲しいと思います。
大人の私たちも、日々の生活の中で、身近な人々との関わり合いの中で、今回教えていただいたことを取り入れることができます。
美甘先生、お忙しい中、私たちにお話をしてくださり、本当にありがとうございました。これからも、世界中の人たちに平和のメッセージを届けてください。映画が完成するのを楽しみにしています。
お父様の進示さんにも、よろしくお伝えください。自分自身の言葉、経験、生き様を人に見せることで、多くの人たちを勇気づけ、人間のあるべき姿を教え、世界平和のメッセージを届けることのできる方は、稀有な存在です。どうか、いつまでも、お元気でいらっしゃいますように!
Written by Keiko