Friday, September 30, 2022

子どもの気持ちに寄り添う子育て 〜「アドラー流 子育てベーシックブック」の翻訳者と考えよう〜

9月のセミナーは、「アドラー流 子育てベーシック」の翻訳者で、カップル&ファミリー専門コーチ、そして10年生・9年生・5年生の三男のお母さまでもある*塚越悦子さんをお迎えし、「子どもの気持ちに寄り添う子育て」について考える会を開催しました。


「アドラー流 子育て」って一体どういうものだろう?と興味を持たれた方、「いま子育てで困っていること」について塚越さんからアドバイスが頂きたい方、子育てにちょっと疲れてしまっているという方・・・等にぜひ参加して頂きたいという思いで、皆さんから事前にお寄せ頂いたご質問やご相談を、塚越さんが内容に取り入れてくださりながら会が進められました。


まず始めに語られたのは「親のセルフケア」の大切さについてです。


子育て中の私たち親は、とかく子どもの為に自分を二の次にしてしまいがちですが、健康的な食事、運動、質の良い睡眠時間の確保を始めとして、まずは自分に正直になり、親にもニーズがあって、そのニーズを満たしながら暮らすことで親に余裕が生まれ、結果的により良い子育てや家族関係につながることを教えて頂きました。親のそのような姿を見る子ども達もまた、自然とセルフケアや自分を大切にすることを学ぶことが出来るとのこと。


ところで、「アドラー流 子育て」には3つの原則があるそうです。

子供には感情レベルのニーズがある

好ましくない行動を取る子どもは、勇気をくじかれた子供である

すべての行動には目的がある


これらの3原則をについて、ふんだんな子どもの行動例や皆さんからのご質問に絡めてご説明くださった中の一部をご紹介します。


  

塚越さんの訳書


子供には感情レベルのニーズがある・・・兄弟・姉妹が多い場合、上の子が下の子をいじめてしまう、下の子が邪魔をするなど、それぞれがニーズを満たす為に親の関心を引こうとしている。子どもなりのベストな方法でニーズを満たそうとしている。


好ましくない行動を取る子どもは、勇気をくじかれた子供である・・・自分よりも兄弟や姉妹が両親に好かれているという気持ちが勇気をくじくことにつながる(アドラー)。好ましくない行動を取ったとしても、それは何かを伝えようとしている。

「自分は価値のある存在」で「自分には居場所がある」と感じられるような適切な方法を、子どもはまだ習得していない。


すべての行動には目的がある・・・例えば他の兄弟に「ちょっかい」を出すのは、自分を見て欲しいから。親の指示を拒否するのは、自分で決めたい気持ちがあるから。無気力、挑戦しようとしないのは、回避願望があるから。などなど、子どもの行動には常に目的があるので、親はその背景を理解するように努める。       



・・・子どもの好ましくない行動に思慮深い対応をすることは、親としてとても難しく、時としてチャレンジングなことでもあります。でも、塚越さんは、それらの子どもの行動に対して親がどのように対応するかで、子ども自身が導き出してゆく「学び」に変化が起きるというお話をしてくださいました。




他にもとても印象に残った言葉が沢山ありました。


・子どもが「自分は大切にされ、気にかけられ、認められている存在だ」「居場所がある」と感じられるようサポートする。そのように感じられる時間を作る。時間は量ではなく質が大切。

・心の触れ合いを感じられるようなコミュニケーションを心がける。コミュニケーションのないところに躾は成り立たない。

・頭ごなしにダメというのではなく、なぜダメなのか説明する。

・子どもが興味を持つものに、親も興味を持ってみる。


・・・など、まさに「子どもの気持ちに寄り添う」子育てのアドバイスをたくさん頂きました。


また、「子育てのゴールは子どもが適切な判断のできる大人になること。親のパワーを徐々に譲っていく」「思春期の子どもとの綱引きの綱を離してはいけない。決して見離さない」などの言葉は、子育てにおける覚悟の言葉として胸に響きました。


ところで今回のセミナーには、下は1歳前のお子さんを持つお母さんから、上は20代後半の社会人のお子さんをお持ちのお母さんまでと、とても幅広い層の方々にご参加いただきました。


お子さんの年齢によって悩みの内容も異なりますが、塚越さんは「自分と子どもとの親子関係について見直したいと思った時が学びの時。いつでも遅くありません」と仰います。

長く感じる子育てもいずれは一段落つく時が来ますが、その後も親子の関係は一生続きます。
セミナーでは、子供が小さい間だけでなく「長く続く温かい親子関係を築くこと」についての学びがたくさんあり、大変勉強になりました。


優しい雰囲気で、とても分かりやすく穏やかに「子供の心に寄り添う子育て」について話してくださった塚越さん、参加者の皆さん、また勇気を出して質問をお寄せくださった皆さん、本当にありがとうございました!


*塚越悦子さん

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Written by J & T