Sunday, May 31, 2015

川尻淳さん「ピアノ&トーク コンサート」

516日(土)、パブリック・ライブラリーに於いて、日本とアメリカの両国で活躍するピアニストの川尻淳さん(http://www.junkawajiri.com/jp/)をお迎えし、「ピアノ&トーク コンサート」を行いました。

素敵なピアノ演奏はもちろんのこと、曲や作曲家のバックグラウンドやエピソード、そしてご自身の思春期を振り返っての子育て応援トーク・・・と、三拍子揃った今までに例のない会が実現しました。

まずは「この曲との出会いがなければ今の自分はない」と淳さんが言い切るほどの運命の曲「Merry Christmas Mr.Lawrence-戦場のメリークリスマスより-」を披露してくださいました。 「一生をかけて情熱を注ぎたいことは何なのか」が見つからずに悶々と生きていたある日、二十歳の淳さんはこの曲を耳にして、「自分がやりたいことはこれだった!!」と雷に打たれたように目覚めます。 そこからは猛烈な勢いで毎日ピアノに打ち込み、二十四歳で音楽大学に合格。卒業後に渡米し、名門・インディアナ大学のジェイコブス音楽院を修了されました。 

この日の会では、ショパンのエチュード「革命」、ベートーベンのソナタ「悲愴」についても、ふんだんな歴史背景や作曲家の人生、人柄、こぼれ話を解説しながら弾いてくださいました。 クラシック音楽といえば、もしかしたら、何やら縁遠いように感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、関西弁の爆笑トークに溢れた淳さんが語る解説は、も~う楽しく興味深く、ショパンもベートーベンも、リストもムゾルグスキーも、現代を生きる私たちと同じ「生身の人間」なのだということが伝わってきました。 彼らも何百年前に苦悩したり歓喜したりしながら、確かにそこに生きていたんだ・・・という実感を伴って、淳さんの演奏の中に作曲家たちの息遣いが聞こえてくるようでした。 

この日は、子育て真っ最中のメンバーが多い私達ぽーと会のため、ピアニストである淳さんに、何と「ご自身の思春期時代を振り返って今思うことをお話してください」という贅沢な(無茶な?)リクエストもさせて頂きました。

「両親は、僕の音楽の才能を発見して、そこから僕が遠ざかり過ぎないように、家の中に常に音楽をさりげなく置いてくれていた」「子供が習いごとをやめたがった時、もし才能があると親が思ったら、やめてからも環境にずっとそれを保ち続けること」「習い事は集中力、継続力を養うための良い機会」「子供は反抗をしている時でも、心の片隅では‘これはいけない’‘親に悪いな’と必ず少しは思っている」「親子で言い争った時に、手紙をくれて真剣な気持ちを伝えてくれた‘おかん’、どんな時も見放さないで居てくれた‘おとん・おかん’」・・・などなど、淳さんが子供の立場に戻って語ってくれた「思春期の子供の気持ち」「おとん・おかんへの感謝」などの本音トークは、私達サンディエゴの親たちにとって、沢山のヒントになり、とても勇気付けられました。

「道に迷っているときでも、親に信じられていることを、僕自身が信じていた」という最後の言葉に、子育てでとても大切なことを教えて頂いた気がして胸が熱くなりました。

出席して下った皆さんからは、こんな声が寄せられました。「クラシックというと少し硬いイメージだったけど、見事にくつがえされました!」「淳さんの解説を聞いた後で曲を聞くと、まるで違うものに感じる」「美しい音色に泣いてしまった」「いま子供が思春期なので、話を聞いて救われた」「主人を連れてくればよかった」「今度は子供に聞かせたい」、はたまた「淳さんを育てたご両親、特にいつも本気で接してくれたという‘おかん’の話が聞きたい」などなど。

・・・淳さん、美しい演奏、笑いに包まれた解説、そして子育てトークまで織り込んだ素敵な会を、本当にありがとうございました。 これからも日本で、そしてアメリカで、クラシック音楽の楽しさを沢山の人に伝え続けてください。 誰もがクラシック音楽をもっともっと身近に楽しめるよう、これからも益々の活躍を続けていかれますよう応援しています!

出席してくださった沢山の皆さんも、心からありがとうございました!



Written by Chako